話し言葉・書き言葉の使い分け
言葉には、話し言葉と書き言葉の2種類があります。
SNSやブログの普及で手軽に文章を扱えるようになったことにより、この2種類が混ざった文章を多く見かけるようになりました。
しかし、これらは明確に違いのある言葉です。
どのような違いがあるのか、特徴を以下にまとめました。
話し言葉の特徴
話し言葉とは、日常生活で音として使用している言葉です。
会話をする場合、表情や身振り手振りによる補足ができます。
例:ずっと子供が熱出しちゃってて、やっと病院に向かったんだけど、休みで困ったんだよね。
方言をそのまま文字にすることができ、親しみやすく、直感で理解しやすい文章を作ることができるメリットがある一方、文法の乱れが多く、誤解を招きやすいデメリットもあります。
例:やばい美味しさのかき氷
本来「やばい」とは「危ない」を意味しますが、話し言葉として用いられるうちに「とても良い」という意味で使用されるようになりました。
話し言葉は、言葉の乱れまで文章にしてしまう恐れもあります。
書き言葉の特徴
書き言葉とは、文章を書くときに使う言葉です。
例:長い間、子供が熱を出していたので、ようやく病院へ向かったが、休診で困った。
くり返して読むことができ、文法を用いるため、誤解を招きにくいメリットがある反面、硬い表現になりやすく、親しみにくいデメリットもあります。
以上のように、話し言葉と書き言葉には明確な違いがあります。
では、話し言葉と書き言葉の混同した文章は読み手にどのような印象を与えるでしょうか?
話し言葉と書き言葉が混同するデメリット
軽い表現のできる話し言葉と、硬い表現のできる書き言葉が混ざると、以下のような品のない文章になってしまいます。
例:長い間、子供が熱出しちゃってて、やっと病院へ向かったが、休診で困った。
読み手に不快感を与えるばかりか、書き手の常識まで疑われてしまいがちです。
文章を書く際は、話し言葉と書き言葉の違いを意識して、混同しないように使い分ける必要があります。
話し言葉を使用すると良い例
キャッチフレーズ・広告・ブログなど。
人の心をつかみたい文章を書くときは、話し言葉のメリットを活かすことができます。
書き言葉を使用すると良い例
論文、ビジネス文書など。
正確性の求められる文章を書くときは、書き言葉のメリットを活かすことができます。
それぞれのメリットをシーンによって使い分けることで、読み心地の良い文章を作ることができます。
ら抜き言葉をなくし、確かな文章を作ろう
ら抜き言葉とは
本来「られる」と表さなくてはならないところを「れる」と表してしまっている言葉を指します。
有名な例として…
①食べられる→食べれる
②見られる→見れる
③来られる→来れる
3例が挙げられます。
これらは、話し言葉としてよく使われていますが、文法が間違っているため、文章で使用することは避けたい言葉です。
ら抜き言葉の特徴
可能(〜できる)の意味を表現したいときに間違えやすい特徴があります。
上記の3例をもとに、間違った例を挙げると…
①中華料理店では、ラーメンが食べれる。
②名古屋の映画館では、最新上映作が見れる。
③友人は、台風の影響で待ち合わせに来れなくなった。
思わず、普段使ってしまったことがある人もいるのではないでしょうか?
実は、文化庁が発表した「平成27年度「国語に関する世論調査」の結果の概要」によると、
―「見れた」(48.4%)が「見られた」(44.6%)を, 「出れる?」(45.1%)が「出られる?」(44.3%)を,今回調査において初めて上回る―
との、結果が出ました。
「ら」を抜いてしまう理由
尊敬を意味する「られる」との区別が考えられます。
例えば、「来られる」を敬語として使い、「来れる」を常語とする使い分けです。
尊敬する言葉と常語を区別してしまうことが、間違いを起こす原因となりやすいのです。
ら抜き言葉を防止するために
ら抜き言葉を防止する分かりやすい方法を、NHK放送文化研究所主任研究員 塩田雄大氏が示しています。以下、抜粋。
「られる」をつける前に「〜しよう」と、勧誘の意味に置き換えてみる。
食べる→食べよう→食べられる
見る→見よう→見られる
来る→来よう→来られる
飲む→飲もう→飲める
「〜しよう」と置き換えたときに、語尾が「よう」となったときは、ら抜きに「要注意」と覚えれば、「れる」「られる」の間違いを少なくすることは可能といえます。
間違えた言葉を使用した文章は、信憑性に欠けた印象を読者に与えてしまいます。
確かな文章に仕上げるためにも「ら」抜き言葉をなくすことは必要でしょう。
重ね言葉を使った文章の良し悪し
日本語には「重ね言葉」があるのをご存知でしょうか?
重ね言葉とは、同じ意味の言葉を繰り返すことです。
例えば…
幼い幼児が、ご飯でおにぎりを作った。
どこに重ね言葉があるか分かりましたか?
「幼い」と「幼児」は、同じ漢字を使用しているので分かりやすいと思いますが、「ご飯」と「おにぎり」は文字面は違っても、おにぎりは「にぎりめし」を意味するため、同じ意味の言葉を繰り返しています。
上記の例えには、繰り返すしつこさがあり、文章にしてしまえば、読者に不快感を与えるだけでなく、言葉の意味を知らない書き手だ、とマイナス印象を与えてしまいます。
では、上記の例えから、重ね言葉をなくしてみましょう。
幼児がおにぎりを作った。
しつこさがなくなり、不快感なく読むことができます。
ここまでの話からすると、重ね言葉を使ってはいけないの?、と印象を与えがちですが、そんなことはありません。
重ね言葉を使用することで、意味を強調することもあります。
例;嬉しさを全身で表現する。
「表」と「現」どちらも「あらわれる」を意味しますが、単に「嬉しさを全身で表す。」より、強く伝えることができています。
上記のように、自然に読むことが出来きる重ね言葉は、一般化しているとも言えます。
一般化している重ね言葉は「表現」の他に「巨大」、「重複」などがあります。
どれも意味を自然に強調させて使用することが出来る言葉です。
しかし、一般化した重ね言葉の中には、誤用だった言葉が一般化した例もあります。
例:夕食はチゲ鍋にしよう。
チゲ鍋は、朝鮮半島より伝わった鍋料理です。
「チゲ」は朝鮮語で「鍋」を意味しますが、誤って解釈された言葉のまま日本に広く伝わり、そのまま一般化しました。
意味を知りながら文章に重ね言葉を使う・使わない、は読者に与える印象が大きく変わります。何気なく使っている言葉ですが、しっかり意味を知ることも大切です。
知らなかった読点の役割とルール
誰でも書ける文章ですが、読点を意識して文章を書いたことのある人は、少ないのではないでしょうか。
そう思ったのは、これまで、私が、無意識に読点を打っていたからです。
読点と書いていますが、私は、この漢字にふり仮名がないと読めませんでした。ただ文章に書いてある「、」を「点」としか認識していなかったのです。
しかし、ブログを書くため、文章について勉強したことがきっかけで、読点は「とうてん」と読み、その役割とルールがあると知りました。
【読点の役割】
読点の役割は、文章を区切ることです。
1文中の語句を関係が深いもの、浅いものにグループ分けすると考えると分かりやすいです。
例:綺麗好きだが掃除をしすぎる人は、潔癖症を疑われる。
私は、文章を書くときに「〜ね」と話口調にできるところで読点を打つのがよいと考えていましたが、役割を知るとで、間違った考えに気づくことができました。
【知らなかた読点のルール】
◉日付を表す言葉のまえ
例;今日、渋滞に巻き込まれた。
例;2018年8月1日、入社した。
例文が「今日渋滞に巻き込まれた。」では、読みづらいですよね。
日時を表す言葉の前に読点を入れることで、読みやすさがぐっと変わるメリットもあります。
◉人・場所・物・動作を詳しくしている言葉が、二つ以上あるときは、それぞれの間にうつ。
例;それは、嵐がCMをしている、先月発売された、最新型の掃除機です。
「それは嵐がCMをしている先月発売された、最新型の掃除機です。」と、読点を1つにしてみると、「それ」が、何を指しているのかを考えながら、最新型の掃除機を詳しくしている「嵐がCMをしている」、「先月発売された」を読み流してしまいがちですが、間に読点を入れることで、文章が区切れ、しっかり読むことができます。
◉つまり、すなわちと同義で使用できる
例;テストの点が悪かった、赤点だ。
「テストの点が悪かった。つまり赤点だ。」より、伝えたいことを1文で綺麗にまとめることができます。
◉かなが続いて読みにくいとき
例;いろはにほへと、ちりぬるを
「いろはにほへとちりぬるを」より、読みやすくなります。
知らなかったことを知ることで、読点に興味を持ち、文章を書くときは、意識するようになりました。
文章には、まだまだ私の知らないルールが存在していると思うと、ただ読み書きしていた文章に対する見方も変わりました。
これからも、文章について勉強していきたいです。