重ね言葉を使った文章の良し悪し

日本語には「重ね言葉」があるのをご存知でしょうか?

 

重ね言葉とは、同じ意味の言葉を繰り返すことです。

 

例えば…

 

幼い幼児が、ご飯でおにぎりを作った。

 

どこに重ね言葉があるか分かりましたか?

 

「幼い」と「幼児」は、同じ漢字を使用しているので分かりやすいと思いますが、「ご飯」と「おにぎり」は文字面は違っても、おにぎりは「にぎりめし」を意味するため、同じ意味の言葉を繰り返しています。

 

上記の例えには、繰り返すしつこさがあり、文章にしてしまえば、読者に不快感を与えるだけでなく、言葉の意味を知らない書き手だ、とマイナス印象を与えてしまいます。

 

では、上記の例えから、重ね言葉をなくしてみましょう。

 

幼児がおにぎりを作った。

 

しつこさがなくなり、不快感なく読むことができます。

 

ここまでの話からすると、重ね言葉を使ってはいけないの?、と印象を与えがちですが、そんなことはありません。

 

重ね言葉を使用することで、意味を強調することもあります。

 

例;嬉しさを全身で表現する。

 

「表」と「現」どちらも「あらわれる」を意味しますが、単に「嬉しさを全身で表す。」より、強く伝えることができています。

 

上記のように、自然に読むことが出来きる重ね言葉は、一般化しているとも言えます。

 

一般化している重ね言葉は「表現」の他に「巨大」、「重複」などがあります。

どれも意味を自然に強調させて使用することが出来る言葉です。 

しかし、一般化した重ね言葉の中には、誤用だった言葉が一般化した例もあります。

 

例:夕食はチゲ鍋にしよう。

 

チゲ鍋は、朝鮮半島より伝わった鍋料理です。

「チゲ」は朝鮮語で「鍋」を意味しますが、誤って解釈された言葉のまま日本に広く伝わり、そのまま一般化しました。

 

意味を知りながら文章に重ね言葉を使う・使わない、は読者に与える印象が大きく変わります。何気なく使っている言葉ですが、しっかり意味を知ることも大切です。